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2015年度事業報告

 2015年度の活動と、それに関連する国内外情勢には次のような特徴がありました。

地球温暖化は確実に進み、温室効果ガスの排出を抑制しないと今後加速度的に温暖化の悪影響が様々な分野で出てるとの認識で、ようやくパリで開催されたCOP21においては、あらゆる国が温暖化防止のための拘束力のる「パリ協定」がようやく合意されました。

 気候変動による気象の激化は、さらなる被害を日本列島にもたらし、かつてない異常気象が発生しやすく規模が拡大していっています。さらに大阪では夏の最高気温が2015年には、2011年比プラス1.8℃の38℃まで上昇し、熱中症による救急搬送が急増するという命の危機に及んでいます。

 政府のエネルギー政策は、原子力と石炭火力をベースロード電源とするとして、東日本大震災(2011年3月11日)による福島第1原発重大事故により福島を追われた人たちの尊厳をふみにじるとしかいいようがありません。フクシマ原発事故は、収束すらしていない中で、高濃度に汚染された汚染水、かつての集落の軒先までせまった土壌汚染残土、山における除染は放棄したままなど、健康被害が加速度的に増えるであろうと予測される中にあっては、いまだ帰れぬ避難者そして住み続ける人たちの命の保証など、情報公開と住民参加による対応策を真摯にとる手だてが見えていないのが現状です。

2015年11月末からパリで開催されたCOP21は、平均気温の上昇を2℃十分に下回るレベルに維持することを協定の目的とし、今世紀後半に人為的な排出量と吸収量をバランスさせる(温室効果ガスの排出実質ゼロ)とするパリ協定に合意しました。このことは、今世紀中に化石燃料の使用ができなくなることを意味します。パリ協定の合意により、国際社会の気候変動対策は新たな段階に入りました。しかし、合意しただけでは絵に描いた餅に過ぎず、各国がパリ協定の目的・目標に沿った国内対策を策定・実施することが求められています。

今年5月に策定された地球温暖化対策計画は、2020年目標は1990年比+3.1%、2030年目標は1990年比-18%、2050年―80%としています。これでは、2020年度から2030年度の10年間に1990年比では21%の削減、2030年度から2050年度までの20年間に50%以上の削減が必要になり、将来世代に大きな負担を強いるものになっています。

日本の2030年削減目標の根拠とされている長期エネルギー需給見通しは、2030年の電源構成について、原発を20~22%、再生可能エネルギーを22~24%、石炭火力を26%としています。原発比率20~22%は原発の再稼働だけでなく、稼働期間の延長、リプレイスなどが前提になっており、国民の願いに背くものです。また、CO2多排出の石炭火力を福島原発事故前より増やす計画は、パリ協定に逆行するものです。

福島原発事故は、汚染水問題の解決の目処は立たず、子供の甲状腺癌が多発するなど、事故の収束の目処はまったくたっておらず、原発事故の原因も解明されていません。にもかかわらず、エネルギー基本計画は、原発をベース電源と位置づけ、原発の再稼働や稼働年数の延長が進められています。

こうした削減目標やエネルギー計画を、パリ協定の目的・目標に沿ったものに改訂させることが、私たち日本の市民の世界と未来の子ども達に対する責務になっています。